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「自動車の点検整備」

今回は「自動車の点検整備」を取り上げる。

トラック運送事業をするためには、おおまかに言えば、車と運転者がどうしても必要になる。
今回のテーマはそのうちの車である。

最近のトラックは安全性や居住性が飛躍的に高まり、快適な運転空間が確保されており、よほどのことがない限り、車両故障等により立ち往生することはない。
しかしながら、一つ間違えば凶器にもなり得るトラックを事業用として使っている以上、日頃の点検整備は確実に実施しなければならない。

事業用のトラックの点検整備には、大きく分けて5つある。
日常点検、1か月点検、3か月点検、12か月点検(いわゆる車検と重なる場合が多い。)と臨時又は随時点検である。

これらの点検を行ったときに異常が発見されれば必要な整備をすることになり、なかでも日常点検については運行の前に実施することから、異常の内容に応じて整備管理者がその日の運行の可否を決定することになっている。

これらの点検整備結果等については、それぞれ記録をし保存しなければならない。また、点検整備記録簿はトラックに積んでおく必要がある。

日常点検は毎日のことで何となく惰性でやりがちで、あるいは忘れる場合も?日常点検は、自動車を使って商売している以上、欠かすことのできない重要な義務である。実際事業者の方々も当然のこととして理解され、実施されているのだが、ともするとその実施結果に対するフォローと記録がかなりあやしいところがあったりする。

記録簿にチェックはあるのだが、たまたまランプが切れていて×がついているのに、それを取り替えた記録がない。タイヤの空気圧を正常にしたにも関わらず、その記録がない。

こんなことのないよう、点検のやりっぱなしではなく、その後の措置についてもきちんと記録しておく必要がある。そうでないと、点検そのものがされていない、整備管理者が運行の可否を決定していない等、管理状況に問題ありとされても仕方ないことになる。

一方、定期点検については、さすがに整備工場やディーラーで実施されている場合が多いのだが、これもまた、実施計画が策定されていない、3か月点検が実施されていない等の指摘が多いところである。

さらに、法定点検以外の随時点検に至っては、その記録が保存されているところは必ずしも多くない。きちんとした自動車の点検整備がされていれば、それだけ実耐用年数は延びるだろうし、省エネ運転にもつながるだろう。こうした日頃の管理が、輸送の安全とコスト削減につながることを忘れてはならない。

運行管理のうらにかくれて見過ごすことの無いよう、自動車の点検整備、整備管理の重要性について再確認する必要がありそうだ。
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「従業員に対する指導及び監督」

今回は「従業員に対する指導及び監督」を取り上げる。

「企業は人なり」とは金言のひとつである。トラック運送事業を経営していく上でも、人材教育は欠かすことのできない重要な事柄であることは明白だ。

しかし、今回取り上げるのはいわゆる輸送の安全を確保するため、事業者として法令で義務付けられている教育についてである。

貨物自動車運送事業輸送安全規則第10条では、

①「貨物自動車運送事業者は、国土交通大臣が告示で定めるところにより、<略> 運転者に対する適切な指導及び監督をしなければならない。」
②「国土交通大臣が告示で定めるところにより、次に掲げる運転者に対して、<略> 特別な指導を行い、かつ、国土交通大臣が告示で定める適性診断 <略> を受けさせなければならない。」
③「非常信号用具及び消火器の取扱いについて、当該事業用自動車の乗務員に対する適切な指導をしなければならない。」
④「従業員に対し、効果的かつ適切に指導及び監督を行うため、輸送の安全に関する基本的な方針の策定その他の国土交通大臣が告示で定める措置を講じなければならない。」

運転者に対しては①②を、乗務員に対しては③をするよう求めており、従業員に対して実施するため④の方針を策定するよう定めている。なお、ここでいう乗務員とは「運転者及び事業用自動車の運転の補助に従事する従業員」である。

では、国土交通大臣の告示とはどのようなものか。
貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(平成13年8月20日、国土交通省告示第1366号)であり、

1 トラックを運転する場合の心構え
2 トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
3 トラックの構造上の特性
4 貨物の正しい積載方法
5 過積載の危険性
6 危険物(自動車事故報告規則(昭和26 年運輸省令第104 号)第2 条第5 号に規定されたものをいう。以下同じ。)を運搬する場合に留意すべき事項
7 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
8 危険の予測及び回避
9 運転者の運転適性に応じた安全運転
10 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因及びこれらへの対処方法
11 健康管理の重要性
について指導監督し、実施した日時、場所、内容、指導監督をした者、受けた者を記録し、3年間保存するよう求めている。

さらに、次の特定の運転者に対しては別途特別な指導を実施しなければならない。
ア 事故惹起運転者に対する特別な指導の内容及び時間
イ 初任運転者に対する特別な指導の内容及び時間
ウ 高齢者(65才以上)である運転者

次回は「自動車の点検整備」について考えてみたい。

「運行」

今回は「運行」を取り上げる。

トラック事業者の方々、なかでも長距離運行をされている方々が「一運行」という場合、どのような輸送形態を念頭に置いておられるのだろうか。

たとえば小所のある富山から東京まで往復するとすると、一運行は具体的にはどうなるのだろう?
富山から東京までの片道、富山・東京の往復のどちらだろうか。たまたま東京から富山までの帰り荷物が見つからず、東京から名古屋へ回送して富山へ帰ってきた場合、どうとらえればいいのだろうか...。
具体的な運送業務においては、いろいろなケースが出てくるであろうから、あらためて一運行とはと聞かれても答えにくいものもあるだろう。

法令等ではどのような定義がなされているのだろう。

まず、監督官庁である国土交通省の考え方を見てみると、「貨物自動車運送事業の事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」(平成13年国土交通省告示1365号。以下「勤務時間等基準告示」という。)では、「一の運行」とは、運転者が所属する営業所を出発してから当該営業所に帰着するまでをいうとされている。

なるほど。ではこの勤務時間等基準告示には、何が書いてあるのか。

「貨物自動車運送事業者が運転者の勤務時間及び乗務時間を定める場合の基準
は、運転者の労働時間等の改善が過労運転の防止にも資することに鑑み、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第七号。以下「改善基準告示」という。)とする。なお、運転者が一の運行における最初の勤務を開始してから最後の勤務を終了するまでの時間(ただし、改善基準告示第四条第三項において厚生労働省労働基準局長が定めることとされている自動車運転者がフェリーに乗船する場合における休息期間を除く。)は百四十四時間を超えてはならない。」

先の例で言えば、富山の営業所から出発して、東京、名古屋で貨物の積み卸しを経て富山の営業所に帰ってくるまでを一の運行ということになる。

次に改善基準告示を所管する厚生労働省の考え方はどうか。

もともと改善基準自体は、自動車運転者の拘束時間、休息期間及び運転時間について定めたものであり、一の運行に関する確たる定義は書かれていない。つまり、自動車運転者の労働条件を改善するためには、労働時間を規制することはもちろんであるが、時間外労働や深夜早朝の労働が常態化する長距離運行では、拘束時間を規制することで労働条件の改善をはかろうとする考え方が根底にあるといえよう。

改善基準の考え方の基本は、一の運行というよりは一の勤務をどのように見るか、であって、休息期間(原則連続8時間以上)をとる直前で勤務が終了することになっている。

なお、平成9年3月11日付基発第143号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について」と題する労働省労働基準局長通達には、長距離輸送についての考え方が記されているので、参考までにお知らせしておこう。

長距離貨物運送(「一の運行」の運転時間が9時間以上又は「一の運行」の走行距離が450キロメートル以上の貨物輸送をいう。)

次回は「従業員に対する指導及び監督」について考えてみたい。

テーマ : 独り言
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「運行指示書」

しばらくご無沙汰してしまった。不定期更新ということで、お許し願いたい。

今回は「運行指示書」を取り上げる。

運行指示書について取り上げる以上、法令に定める点呼という意味をしっかりと把握しておかなければならない。

前々回、点呼については行政処分の観点から取り上げたのだが、点呼は乗務前、乗務後に『対面』で実施するのが大前提であり、やむを得ない場合には電話等により実施することとなっている。なお、乗務時間が早朝や夜間になるため対面で実施できないというのは、やむを得ない場合には含まれないことに注意しておく必要がある。

とすれば対面で実施する以上、点呼を実施する運行管理者は、当然のことながらトラックが運行している間は営業所において執務している必要がある。そうは言っても24時間、365日ずっと勤務するのは不可能であることから、実務上は補助者に点呼を実施させることになる。

いわゆる長距離運行の場合、出発時や帰着時には営業所なり車庫なりで対面で点呼をすることも可能だが、出先で(泊)を伴う場合には、対面で実施することは物理的にできない。

これに対し法令では、乗務前も乗務後も対面点呼ができない場合には、
「乗務の途中において少なくとも一回電話その他の方法により点呼を行い、略、事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。」
と定めているが、通達ではこの場合の点呼を『中間点呼』と呼んでおり、乗務前後の点呼がいずれも対面で行えない乗務の場合のみ実施すればよいとされている。(どちらか一方が対面で実施できれば中間点呼や運行指示書は必要ないことになる。)

ただ、このような乗務を含む運行ごとに今回取り上げた運行指示書を作成し、運転者に指示し、携行させ、当初の指示内容に変更が必要となった場合には、これを電話等で指示し、運転者に変更内容を記載させることになっている。ちなみに保存期間は1年間で、営業所に保存することになっている。

具体的には
一  運行の開始及び終了の地点及び日時
二  乗務員の氏名
三  運行の経路並びに主な経過地における発車及び到着の日時
四  運行に際して注意を要する箇所の位置
五  乗務員の休憩地点及び休憩時間(休憩がある場合に限る。)
六  乗務員の運転又は業務の交替の地点(運転又は業務の交替がある場合に限る。)
七  その他運行の安全を確保するために必要な事項
を記載し、変更があればその変更の内容を記載する。

???。そう、前回取り上げた乗務記録とよく似た内容である。
根本的に違うのは、乗務記録は運行の結果であって、運行指示書は運行の計画であるということだ。あくまでも計画だから途中で変更もあり得る。もしそうであるならば、その内容も記載して保存しておけという筋道になる。

ここまでくると、長距離運行をされている事業者には非常につらい面があるかもしれない。何故なら、会社として標準運行ダイヤのようなものを策定されていたとしても、実際にはそのとおりにいかないのが長距離運行だからだ。それを承知の上で?、変更があればあったとおりその内容を記録し保存しておくことが必要だと言っているのだ。

次回は「運行」について考えてみたい。

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